山形大学 有機エレクトロニクスイノベションセンター(INOEL
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仲田 仁(産学連携教授)nakada(at)yz.yamagata-u.ac.jp   向殿 充浩(産学連携教授) koden(at)yz.yamagata-u.ac.jp  (スパムメール防止のため半角@(at)にしています。)

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【メッセージ】

2019615

C. W. Tang先生 京都賞受賞おめでとうございます

現在の有機EL隆盛の端緒となった研究を行った香港科技大学のC. W. Tang先生が京都賞を受賞されることになりました。Tang先生が1987年に米コダック在籍時代に研究し発表した有機ELデバイスの論文[1]は、その後の活発な有機EL研究開発・事業化の引き金となったまさにイノベーティブな研究成果であり、私どもも今回の受賞を心から喜んでおります。

■仲田産学連携教授のお祝いメッセージ

Tang氏が栄えある京都賞を受賞されたこと、大変喜ばしく思います。私が前職(パイオニア椛麹研究所)で有機ELの研究を開始したのは19883月で、まさにエポックメーキング的なTang氏の1987年の論文[1]に出会ったのがきっかけになります。当時、私たちは九州大学の筒井先生の研究グループに指導を仰いでいたため、1988年に鳥取で行われた4th International Workshop on ElectroluminescenceEL’88)で、当時は未だ学生だった九州大学の安達先生、パイオニアで一緒に研究をしていた脇本氏(現メルクパフォーマンスマテリアルズ梶jと初めて当時コダックの研究者だったTang氏にお会いし、今では当たり前に使われているドーピングという全く新しい技術を熱心に説明してもらったことを鮮明に記憶しています。当時は未だゲスト−ホストという概念は無く、この技術によって有機EL材料の選択肢の幅が飛躍的に広がったことが現在の有機ELの興隆につながっています。当時はまだ簡単に1,000cd/m2という輝度を得ることが難しい時代でしたが、Tang氏からは、「この技術を使えば必ず1,000cd/m2を超える輝度が得られるからがんばれ。」と強く励まされました。

その後、何度かロチェスターのコダックの研究所を訪問し、いろいろディスカッションをさせていただきました。まだ封止技術が確立できていない時代で、お互いにどのようにしたら信頼性の高いデバイスを作ることができるか議論したことを懐かしく思い出します。

Tang氏の論文や特許はまさに有機ELの教科書であり、当時私たちはまずTang氏の技術をトレースすることからスタートしましたが、Tang氏の誠実な性格そのものに、記載された内容は実に正確で、完全に技術をトレースすることができました。

有機ELの先駆者であるTang氏の背中を見ながら、まだ30代の研究者だった私は有機ELの実用化を目指して研究開発を進めてきました。そして、1997年世界で最初に有機ELの実用化を果たした時にTang氏も大変喜んでくれたことを記憶しています。

Tangさん、京都賞の受賞、誠におめでとうございます。

仲田

 

■参考ウェブサイト:
稲森財団:https://www.inamori-f.or.jp/news/kyoto_prize/2019/06/14/4981/

[1] C. W. Tang and S. A. VanSlyke, Appl. Phys. Lett., 51, 913-915 (1987).

 

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